2010年10月31日日曜日

日本を憂う

先日(10月26日午後)、櫻井よしこ氏が理事長を務める国家基本問題研究所の「会員の集い」なるものに出席した。

なるものというのは、私自身がまだこの国家基本問題研究所(略称:国家研)の会員に登録していないためだ。その内というかいつなっても構わないのだが、一応、10月28日の会が私にとっては、ファーストコンタクトとなった。

終始気高いオーラを放ち続ける櫻井よしこ氏自らが司会を務められ、登壇者の間にコメントを挟みながらの進行だった。登壇者は、櫻井よしこ氏の他、北村稔京都大学文学部史学科教授と、杏林大学名誉教授の田久保忠衛氏、民主討議員で前防衛大臣政務官の長島昭久氏の4名だ。最後の方に、自民党の若手議員の主賓席側からの短い(3分程度)スピーチがあったが、メインは上記4名である。

私もこの国家基本問題というものには常日頃関心を寄せているのだが、いかんせん力不足でジャーナリストとしてもまだまだ政治的発言力が低い立場にある。

そこで既に力を蓄えられている国家研や櫻井さんのようなジャーナリストと親交を深めさせて頂き、活動の場を増やしたいと願っての参加ではあったが、しかし、実際に参加してみると向学になったのはいうまでもないが、参加者の年齢層の高さに驚いた。

実際に開始ぎりぎりで駆け込んでみると、(鶴の間の恐らくニューオータニで最も広い会場ではないだろか)演台の櫻井さんが米粒は大げさだが、かなり小さくにしか見えない。それほど大きなスペースに椅子と机がぎっしりと並べられているのだが、見渡す限り、年配、高齢者なのだ。明らかに戦争体験を子供の頃にしている、もしくは戦争に出陣した経験があるのではとおぼしき方々が多数を占める集まりなのだ。

若くて40代、50代くらいの方も見かけなくはなかったが、恐らくこの時のお集りの方々の平均年齢は、75歳くらいであったのではないだろうか。

賢明な読者の皆さまは、ブログのタイトルとここまでの話で何をいわんとしているかお気づきのことと思われるが、まさしく国家の問題に真っ正面から向き合わんとする会合に積極的に出かけてこられる方々が戦争世代であり、日本の行く末を案じておられるのは最もだが、働き盛りの世代はもとより、若者影が一切見受けられないことへの危惧、いや、その事自体恐ろしく憂いそのものを痛感したのである。

ふーっと、思わずため息をその場でつきそうになる私であったが、まあ、救われたのは、思いの他、党を離れた場では、前出の長島昭久氏(民主)がまともなことをいう、本気で日本の国益をことを考えていらっしゃる御人であったことが判明したことだ。まあ、個人としてはそうなんだろうし、極左以外の政治家は。

長島氏の言葉で印象に残ったのは、「もはや民主党政権が悪いというだけの話ではなくて、日本の安全保障の問題は、国民的議論にしていかなくてはならない。日本の仕組みそのものを変えていかなくてはならない」と発言したことだ。

私は、その時「また、菅さんに遠慮して」、「やっぱり民主党員だな」というようなことが一瞬頭によぎったものの、今日の日本政治、対中国の在り方を静かに思い起こした時、まさしく、くしくもこの民主党議員の長島氏のいわれたことが本当に物事の本質なのだという思いに駆られた。これは日本国全体の行く末を決める大きな大きな報告転換を求められる事態なのだ。

最後に櫻井よしこ氏は「民主党政権ではこの国難を乗り切れない、ということを結論として締めくくりたいと思います」とおっしゃっていたが、まさしく「政権交代」も辞さず、迅速に国際情勢に対応していかなくてはならない待った無しの状態でもある。

しかし、今日のNHKの朝の「討論番組」をみていても本音を言える政治家は誰一人としていなかった。日本の国益について、対中国政策としての国防について、誰も何もいわない。政治家のお得意な「きっちりと国際社会に訴える」「しっかりと中国問題を対応する」は何を?『何をどうやって?』
今は、総論、総花的な話をしている時ではない。どの党もサラリーマン的に角の立たない発言に注力している。

しかし、今は、早急な具体策を求めているのだ。国家としての戦略を、対中、対米戦略を。国家の根幹を揺るがすこの領土問題に対して、どう自衛権、防衛権を駆使し、中国からもロシアからも、また米国との防衛関係をどう日本は国家として位置づけていくのか、その道筋を、シナリオをこそ作っていかなくてはならないのだ。

日本の将来に渡って国益を確保するのが政治家の仕事ではないか。


そんな当然のことを選挙受けが悪いからとTVメディアで語ることを恐れる政治家を日本の代表のように意見を求めるメディアはもっと根本的な意味の悪である。

日本人の政治への無関心、本音の議論を閉ざす風潮を作り上げたのは他でもない、大マスコミと保身のみで政治活動を行ってきた戦後から脈々と続く政治家たちの責任だ。

これに異論を唱える政治家がいたならば、大手マスコミがいたならば立ち上がって堂々と今こそ本音を主張せよ、と申し上げたい。フリーのジャーナリスト、そして心あるこの問題に対して日本国を憂えている人々を能動的に巻き込んで、今こそ日本の進むべき道、国家を守るということにいて”議論の旋風”を巻き起こすべき時である。