2014年6月1日日曜日

野口健さんにみる、アルピニストはリアリスト

なかなか秀逸なTV講演番組「テレビ寺子屋」(フジテレビ)を思わずみいってしまった。

メジャーリーグ中継の後、すっかり夜もあけて「土曜のよふかしはこれで終わり。さて寝ましょう」
と思ったら始まってしまったのだ。それもすごく気になるはいり方で・・・(笑)。

以前から注目していたアルピニスト野口健さんの出演だ。
 
http://www.noguchi-ken.com/

このあとの講演のいいところを番組冒頭に流すのだが、「死ぬ覚悟もあれば、生きる覚悟もある」と、威厳すら感じさせる佇まいで話す野口さんに、もう眠ることはできなくなってしまった。
http://www.sut-tv.com/show/terakoya/backnumber/post_218/

「死ぬ覚悟と同じくらい生きることにも覚悟がいるんだ」と話はじめたのは、数々のヒマラヤ登頂で死と向き合わざるを得ない経験を野口さんがしてきたからだ。

下山途中に数多くみるアルピニストの亡骸。そして、ある時、体験したのは、仲間のアルピニストがもう息絶えるとわかっていて、自分は彼を見捨てて一人下山できるか、それとも一緒に死ぬことができるのか、という問いだ。

考えて考えて、そして、仲間に先に行くよう促されても野口さんは、彼が息絶えるまでその場を動けなかったそうだ。そして最後の仲間の言葉を聞いて、見送った後、野口さんは、下山しながらそのことについて、考え続けたそうだ。

その時、ビルマで大東亜戦争を戦い抜いて、最後は捕虜となって日本に帰ってきたおじいさんの言葉が深く思い起こされたそうだ。おじいさんは、参謀という立場で多くの部下を死なせてしまった。それにも関わらず自分だけは、日本に帰り、孫にまで恵まれて、幸せであればあるほど、「苦しい」と、野口さんには話していたそうだ。

野口さんは、「生き死にを覚悟する」経験を得たあと、
おじいさんや戦争のさなか「死ぬ覚悟」をしたであろう軍人に、重なる思いがうまれたそうだ。

その気持ちが現実に、「国のために死んでいった人を軽んじるようなことがあれば、その国は滅びる」と、遺骨収集に向かわせることになった。

野口さんの遺骨収集は今年で7年目だ。
2010年には所属していたNPOを離れ、個人として活動されているようだが、その思いと行動はより一層、熱くなっている。

野口さんのこの活動が少しずつでも、実を結び、日本でも戦争のことをタブー視せず、自由に話せる空気が生まれるといいなと思う。なかなか歴史教育というのは難しいことだけどね。

それでも、真なるリアリスト、野口さんに習って何か自分の思うところをかたちに行動にしていけたら、こんなに素敵なことはない。

http://blog.livedoor.jp/fuji8776/archives/52166029.html