2010年6月7日月曜日

中国におけるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の役割とは

今日は6月6日。相変わらず日本の政治はぱっとしない。
そうした中、日本では日々、世界中の人の苦しみは忘れ去られているようだ。

アジア諸国の共通の課題として近隣国の北朝鮮の問題がある。(引いては中国問題に繋がるが)人間として最も基本的なこと『基本的人権』が蹂躙され続けている。

最近、日本でも映画「クロッシング」が公開され、また未公開映画「キムジョンジリア」が一部日本のメディアで紹介されるなど、北朝鮮の凄惨さが民主主義国家に伝えられている。実際、日本に逃れてきた脱北者の話では、「現実はクロッシングで描かれていることの100倍は悲惨」なのだという。

ここではその脱北者の話については触れないが、内容は想像していた以上で、もしかしたら第二次世界大戦のホロコーストに匹敵する悲惨さなのかもしれないと思った。思想犯にされた場合、幼い子供でも精神病棟に隔離され家族との面会は一切なく精神が崩壊する。挙げ句人間としての尊厳は失われ動物のようになってしまうのだという。

なぜ、同一民族である国民に対してこうも非道な仕打ちが出来るのか。長年に渡って洗脳され続けた国民は、互いに監視し合う中で人権意識が損なわれ、人間としてのまっとうな感覚が失われてしまったのだろうか。しかし、それが彼らの本来の姿ではないことが脱北した人の言葉を聞けばわかる。

ポル・ポトといいアジアにおける独裁者の共産主義体勢、先軍体勢は実に恐ろしいものだ。

一党独裁国家の中国には底の見えない恐さを感じるが、それ以上に北朝鮮が絶望的なのは、国交を持たず、市場経済の導入が破綻したことだ。(現在はデノミを導入、その後さらに経済は悪化している)。よって、いまのところ現体制を崩壊(権力者の死もしくは権力の剥奪)させることによってしか国民が自由になる術は浮かばない。

もちろん1%の可能性でも内部から崩壊していくというシナリオがないことはないけれど、それでも取り残されている国民にそれだけの知力、気力、財力があるかどうかが問題だ。

映画「キムジョンジル」でインタビューに答えていた脱北者は、『北朝鮮を抜け出すまでは外国は自国の事しか考えない悪い国だと聞かされていた』という。そして日本からの援助があったことも知らないというのだ。上層部の横流しは話によく聞くが、援助を受けていたお米の一部は、外貨欲しさに韓国に輸入していたという。(そんなバカな話はあるまい!)

という訳で本日の表題、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の話である。
北朝鮮からの脱北ルートは主に中国東北部になるわけだが、ご存知の通り中国は北朝鮮との外交を重視し、脱北者を積極的に捉え北朝鮮に送り返している。この理由には、脱北者には政治的亡命意識が弱く政治的理由ではなく、生活苦で自国を逃げ出してきた、つまりはカリフォルニアに不法滞在するメキシカンと同じだという味方をしているからだという。

そうした解釈の裏には限りなく流失してくるであろう北朝鮮の人々の受け入れ問題がある。何万、何十万と想定できる難民を受け容れる用意がある国などはほとんどなく、これ以上の負担を背負いたくないという各国の本音だろう。

しかしだ、何よりも攻めを負うの中国政府の対応だ。
政治的本質が北朝鮮と同通する中国は、北朝鮮との関係にのみ重きを置き、自国に戻れば絶対に国際法上も許されない拷問や、あるいは死刑に値する処罰が待っていることを分かっていながら、脱北者を積極的に引き渡す。

その残忍さは中国の内政そのもに通じるが、せめて一時預かり、国際法上守られるべき人権に照らし適切な対応を取る義務があるはずだ。それが出来ない中国政府には、UNHCR(国連難民高等弁務官)が動かなくてはならない。UNHCRは、北朝鮮が人権侵害国家であるが故、中国には安易に脱北者を引き渡さないことを約束させなければばらないのだ。たとえ中国の出方がどうであれ、UNHDRには通告の義務はある。それがいま、出来ないという現状を国際社会は何と見るか。

中国にも駐在するというUNHCRの意味は一体何なのか?
『すべての難民・被災民を人道的に保護すること』がその創立の目的ではないのか。

UNHCRは、中国から北朝鮮への強制送還、そして北朝鮮政府による公開処刑、精神病院への強制収容、北朝鮮のおけるあらゆる拷問に対して禁止命令を実行せよ。

政治的既得権目当てにアフリカ諸国だけを援助することなく、今ここにあるアジアの現実にも目を向けてもらいたい。様々な問題があるにしろ、命をかけて逃げ出してきた人々に新たなチャンスを与えることなく、葬りさることは民主主義国家に生まれた人間としてその責務を果たしていないのではないか。また人権蹂躙国家に加担する中国が国連の常任理事国として相応しいかどうか、諸外国はもっと検討すべきである。

一人の人間の力ではどうする事も出来ない状況がそこにはあるが、それでも同じアジアの同胞として何か手助けできることがないか、もっと真剣に考えてみたい。

日本政府はこの問題に対してもっと積極的にUNHCR働きかける義務があるだろう。

次期政権に期待できる事ではないが、過去の菅首相の責任(シンガンス釈放嘆願事件)を考えた際に気の毒なアジアの同胞を救う行為はばかられることではあるまい。

単に戦略的互恵関係などといって自国を差し出すような民主党政権にはほど遠い、自己犠牲的精神を発揮しなくては実現できない話ではある。

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