やっと観に行けた。
ご多分にもれず、泣いた。
映画館は平日の日中にも関わらず、品のよさそうな年配の方から、比較的若い世代も多くて、若い男の子が映画が終わってしばらく経っても目をこすっていた。
私の涙が最初こぼれたとき、実はみんな同じ場面ですすり泣くというシンクロが起きた。日本人同士、日頃はどんなに希薄に見えても目に見えない縁で繋がれているんだね。
う~ん。
脚本の素晴らしさ。戦後70年経ってようやく今、こうした映画ができたこと、各新聞社朝日も日経も協賛としてかかわってこんな映画が撮れたんだなって、最初のテロップを観たときから感慨深いものがあった。
映画はなんというか、独特の空気感が流れてて、
特に岡田准一扮する宮部久蔵が束の間横浜の自宅に帰って、家族とくつろいだとき。
自宅の玄関や、内風呂のあるしっかりとした日本家屋、家庭の象徴であるかまどのある光景など、何もかもが嘘のような静けさで、それが怖いほど昔の日本人の凛とした佇まいを漂わせてていた。
葬式を終えて、宮部の孫たちが戦友たちに話を聞いて回ったとき、それぞれに設定された空間は、時間が止まったような映像感覚で、まるで異次元空間に引き込まれたような気持ちになった。
私にとっては、これまでに観たことのない、純然たる日本を表した映画なんだなって初めて、そんな風に思える映画だったんだ。
だから、すごく新鮮で、この世ではない別次元に自分がいて、あの世のスクリーンを通してこの世をみているような、そんなイリュージョンな感覚だった。
戦中・戦後という歴史が、同時代に交錯する。そして、日本人として連綿と続く存在の不思議さよ。
かつて流れた太平洋戦争という歴史を、その時代の先祖の生き方として俯瞰して見れるとき、人は、生命を受け継いだ孫たちは、おじいさんたちのつないでくれた生命を、その歴史の重みを肌身を持って感じずにはいられないんだ。
だから、観ているこちらは、三浦春馬扮する孫の立場になってみえてくる。尊い先祖の犠牲の上に自分たちの生命の継承が、繁栄が成り立っているんだって。口幅ったい言い方だけど、「日本人として国を守りたい」、「愛する家族を守りたい」という気持ちに守られ、支えられ続けてきたんだなって実感させてくれる。
本当に戦前の日本人たちは偉かった。
ありがとう、おじいさん、おばあさん。
魂を失なったかのような殺人事件や人間関係のトラブル、仕事上の熾烈な利害関係の争い。
現代に生きる日本人が全員この映画を観られるような時代になればきっと、この社会も日本という国も変わっていることでしょう。
いくらでもない利己的な欲望の赴くままに、与えられた生命を生きることをよしとはしない、そんな価値観が芽生えてくることをきっと多くの人が実感できるのではないでしょうか。
そして、世界中の人にみてもらいたい。
太平洋戦争という時代を生きた、誇り高い、強い責任感と愛を胸に秘めた日本人の姿を、多くの人に知っていただきたいと思います。
この映画が長く上映され、NHKでもいつか放映される日が来ることを願ってやみません。
一人の日本人として、この映画がこの時代に製作されたことに感謝いたします。
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